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よしなしごとども 書きつくるなり
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岩井志麻子(中央公論新社)

 大正時代。苦労知らずで美しい「明子」は幸せな結婚生活を営んでいた。
 だが、学生時代の友人「清子」を、夫の会社の事務員として紹介してから、その幸せに暗い影が落ちるはじめる。

 明るくて華やかで、甘え上手な明子。その反面、いや、それゆえ傲慢で他人の痛みには気付こうともしない性格なのである。
 こういう女性は私がもっとも嫌悪するタイプである。「悪気は無いの」ですべて済まそうとする、その根性を叩きなおしてやりたくなる。
 一方清子も、共感はできるが好きにはなれないタイプである。
 だが、この作品自体は非常に気に入った。
 主人公二人の自負心、間に立つ男性の優しさという名の優柔不断さ。そして大正という、自由と封建がないまぜになった時代。すべてがきっちりと描かれている。
90点
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岩井志麻子(角川書店)

 表題作のほか、三篇を収録。
 「あまぞわい」が私は怖かった。
 貧しい漁村に嫁いできたユミ。暴力夫に排他的な村人。寄る辺もなく耐えていた彼女だが、やがて網元の息子と密かに愛し合うようになる。だが夫の知るところとなり……。

 「あまぞわい」という昔話にそってユミが垣間見る世界が、妖しく恐ろしい。
 また、いずれの作品もそうなのだが、極貧に喘ぐ人々の生活が読んでいて苦しかった。やはり人間、衣食が足りないと、礼節なんて知ったこっちゃないのだとつくづく思わされた。
85点
岩井志麻子(マガジンハウス)

 時は大正。若く美しい人妻、花代子と月絵。二人は花代子の家の洒落た洋間で、女学校時代の思い出を語り合う。甘やかでどこか蠱惑的な思い出話。

 これは感想を述べるのが難しい。夢の世界をさまようような二人の話に、なかなか感情移入できないのだ。その夢は、あの手この手で描き出されるのだが、皆インパクトに欠けていて、心に迫るものがない。
 檸檬色の壜に入った、菫の砂糖漬け。仏蘭西のチョコレェトの銀の箱。そんな小道具にはちょっと魅力を感じたが、内容はいただけない。
55点
岩井志麻子(太田出版)

 志麻子姐さんが、恋愛について語るエッセイ。これは文句なく面白い。

 その一。容姿に恵まれていなくても、モテる女性はいる。別な魅力でがんばってる女性。対して優しくない男性を恨み、イイ女を妬むばかりの女性は「ブスのデフレスパイラル」で出口がない。
 その二。腕時計に対する価値観は、恋人選びの価値観に通じるものがある。いつも付けてないと気が済まない、とか。数をいっぱい揃えたい、とか。一点豪華主義、とか。
 その三。正直って残酷。それにラクチン。自分がラクになりたいから言ってるところがある。相手を思って言ってるんじゃない。
 とまぁ、挙げればキリがないほど、なるほど、な話が満載なのである。
 そして登場する数々のエピソードが本当に傑作だし、それによって導かれる恋愛論は説得力がある。自分はモテないと悩んでる人にはうってつけのエッセイである。
85点
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