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モダンタイムス

伊坂幸太郎(講談社)

 SEである渡辺は、ある出会い系サイトの仕様変更をすることになる。その仕事をしていた先輩は逃げ、客先とは連絡がとれない、と奇妙なことが続く。やがて渡辺はあることに気付く。その出会い系サイトは、複数のキーワードでたどり着いた人間を見張っているらしい……。
 ソフト会社の悲哀がこれでもかと書かれていて、内輪ネタっぽいがウケた。この納期は不可能だと上司に食ってかかる部下、工夫で乗り切れとのたまう上司。まさに業界あるある。
 閑話休題。
 「そういうシステム」という言葉が繰り返し出てくる。政治が動く。独裁者が現れる。人々が熱狂し、やがて醒める。それらは誰かが画策しているわけでない、そういうシステムなのだ、と。確かにそうかもしれない。どんな権力者だとて「駒」に過ぎず、世界は勝手に移ろいゆく。この作品にある言葉を借りるなら、そこに見いだせるのは虚無しかない。
 だから主人公たちは目の前にある問題から解いていく。小さなことからコツコツと(これも誰かの言葉だ)。
 虚しいと言って背を向ける前に、人には為すべきことがある。そんなメッセージをこの作品から感じとった。
80点
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