忍者ブログ

悪いものが、来ませんように

芹沢央(KADOKAWA)

紗英は不妊に悩んでいたが、夫は非協力的でしかも浮気している気配があった。彼女は幼い頃から仲がよかった奈津子に頼り切っていた。
奈津子は夫を嫌悪し、しかもサークルなどでも浮いた存在で居場所がなく、明るい紗英を慕っていた。
支えあう二人であったが、やがて紗英の夫が殺されて遺体が山中から発見される……。

この結末は予想外、筆者にまんまと騙された。こういうトリックはきっと昔からあったのだろうが、あまりに描き方が見事だった。
それはさておき。
女性特有の「あるある、だけど見るのも聞くのも嫌」なことがらを、どぉんと目の前に出されてたじろぐシーンがいくつかあった。
紗英の勤める助産院で暴言を吐く女性、「産んでもいないのに何がわかるの?」。
奈津子のボランティアサークルについて彼女自身が仲間たちを「いい歳して女子高生のようにつるんではしゃいでいる」と見下したり。

それから驚くような表現もあった。
誰とでも仲良くなれる起用さを持つ紗英は、学生のころグループで固まるクラスメートたちを不思議に思っていた。と同時にグループ間をまたげる度量が自分にあることに優越感を抱いていた。
優越感? それこそ不思議な感覚、ちっとも羨ましくはない。

というように、ところどころ引っ掛かる表現があって、初見の作家であったが次にはなかなかいかないかもしれない。
80点

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 5
6 8 9 10 11 12
13 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[04/06 まきまき]
[04/06 もか]
[03/25 まきまき]
[03/25 もか]
[03/25 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析