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よしなしごとども 書きつくるなり
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宮澤賢治(パロル舎)




 蟹の兄弟が、青い水の底で見た世界。
 色がすばらしい。
 五月の、光差す水の中は青磁色
 十二月のつめたい水は紺青色
 そして物語が綴られた文字の背景色は青鈍(あおにび)
 うっとりするような色使いである。

 もちろん、宮澤賢治の独特のストーリーもまた良い。
 兄弟のちょっとした諍いは微笑ましく、途中で登場する父親は、凛々しくててすてきだ。

 それから擬音の使い方がすごい。
 「……その上には月光の虹がもかもか集まりました」
 なんて、一体誰がこんな擬音を思いつくだろう。

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