Back To The Past
よしなしごとども 書きつくるなり
お伽草紙
太宰治(新潮社)
井原西鶴の作品を太宰流にアレンジした「新釈諸国噺」は、多数のショート・ショート。
いわゆる「武士道」の理不尽さ加減、あるいはくだらないこだわりに、いちいち感嘆してしまった。こんな時代に生きた人達は、さぞかし大変だったろう。
浦島太郎のパロディである「浦島」は、低俗すれすれの絶妙なバランス感覚が良い。
ここに出てくる亀は雄弁で、小心者の浦島をこきおろしたりして痛快である。また竜宮城の在り方も、太宰が考える「真の幸福」論を垣間見ることができるようで興味深い。
90点
井原西鶴の作品を太宰流にアレンジした「新釈諸国噺」は、多数のショート・ショート。
いわゆる「武士道」の理不尽さ加減、あるいはくだらないこだわりに、いちいち感嘆してしまった。こんな時代に生きた人達は、さぞかし大変だったろう。
浦島太郎のパロディである「浦島」は、低俗すれすれの絶妙なバランス感覚が良い。
ここに出てくる亀は雄弁で、小心者の浦島をこきおろしたりして痛快である。また竜宮城の在り方も、太宰が考える「真の幸福」論を垣間見ることができるようで興味深い。
90点
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人間失格
太宰治(新潮社)
太宰は読む前から好きだった。本から「ゆううつ」が立ち昇ってくるような雰囲気が。読んで見て、やはりハマった。
特にこの作品。自分はダメな人間だと思い込んでいる主人公は、学校では「ひょうきん者」になりすましている。でも級友になにげに「ワザ、ワザ」と指摘されて、がーんっていうくだり、何度読んでも血の気が引いてゆく。B級、いやA級ホラー小説より底知れぬ恐怖を感じる。
太宰は代名詞のように「暗い」と言われるが、この作品は暗いのではなく「深い」。
100点
太宰は読む前から好きだった。本から「ゆううつ」が立ち昇ってくるような雰囲気が。読んで見て、やはりハマった。
特にこの作品。自分はダメな人間だと思い込んでいる主人公は、学校では「ひょうきん者」になりすましている。でも級友になにげに「ワザ、ワザ」と指摘されて、がーんっていうくだり、何度読んでも血の気が引いてゆく。B級、いやA級ホラー小説より底知れぬ恐怖を感じる。
太宰は代名詞のように「暗い」と言われるが、この作品は暗いのではなく「深い」。
100点
百年目
新潮文庫編集部編(新潮社)
ミレニアム記念特別文庫。豪華な顔ぶれのアンソロジー。阿川弘之、さくらももこ、ビートたけし、町田康……さすがにみんなおもしろい。
とりわけ気に入ったのは、平岡倭文重の「暴流のごとく」。筆者は三島由紀夫の母親。
三島が幼い頃に彼女が書いたという日記は、姑との凄まじいまでの確執に覆い尽くされている。姑は癇の強い女性で、三島を母親から引き離して、独占しようとする。三島はそんな祖母に、健気にもなついているフリをする。
母親が書いたものだから、少し割り引いて考えても、三島由紀夫という人は、本当に純粋で感受性豊かな人だったようだ。彼の作品をまた読みたくなった。
65点
ミレニアム記念特別文庫。豪華な顔ぶれのアンソロジー。阿川弘之、さくらももこ、ビートたけし、町田康……さすがにみんなおもしろい。
とりわけ気に入ったのは、平岡倭文重の「暴流のごとく」。筆者は三島由紀夫の母親。
三島が幼い頃に彼女が書いたという日記は、姑との凄まじいまでの確執に覆い尽くされている。姑は癇の強い女性で、三島を母親から引き離して、独占しようとする。三島はそんな祖母に、健気にもなついているフリをする。
母親が書いたものだから、少し割り引いて考えても、三島由紀夫という人は、本当に純粋で感受性豊かな人だったようだ。彼の作品をまた読みたくなった。
65点
症例A
多島斗志之(角川書店)
精神科医である榊は、十七歳の少女の担当医となる。彼女の病気は分裂病か、境界性人格障害か、榊は診断を下しかねていた。臨床心理士の広瀬由紀は彼女を多重人格ではないかと進言するが、榊はなかなか同意できなかった……。
よく調べて書いたんだろうな、というのが第一印象。精神を病むというのは、こういうことかと合点がいった。そして衝撃的でもあった。
同時進行する博物館の贋作にまつわる話も、これまた飽きさせない。やがて二つの話が絡まりあってゆく部分もそつがなくてうまい。
ただ、ラストだけが少々違和感があった。少女の病気の表面化があまりにも急な気がした。
80点
精神科医である榊は、十七歳の少女の担当医となる。彼女の病気は分裂病か、境界性人格障害か、榊は診断を下しかねていた。臨床心理士の広瀬由紀は彼女を多重人格ではないかと進言するが、榊はなかなか同意できなかった……。
よく調べて書いたんだろうな、というのが第一印象。精神を病むというのは、こういうことかと合点がいった。そして衝撃的でもあった。
同時進行する博物館の贋作にまつわる話も、これまた飽きさせない。やがて二つの話が絡まりあってゆく部分もそつがなくてうまい。
ただ、ラストだけが少々違和感があった。少女の病気の表面化があまりにも急な気がした。
80点
大好きな本 川上弘美書評集
川上弘美(朝日新聞社)
書評集。書評委員として新聞紙上に書いたものと、文庫などの解説文。
参った。読みたい本が次から次へと出てきて。
「好きな人のすすめる本が必ずしも面白いとは限らない」
という私の中の定説が、一瞬ゆらいで、ゆらいだ末にある本などは即座に注文までしてしまった。
読売新聞の書評もいつも楽しみにしていたが、こうして一冊にまとまったものを読むことにより、その魅力を再確認した。気取らない文章で、謙虚に、ときには熱く川上氏は書評を書かれている。その生真面目さに打たれた。
ただ、この本はひたすら「褒めている」書評集なので、川上氏の貶し言葉もちょっと読みたい気もした。
75点
書評集。書評委員として新聞紙上に書いたものと、文庫などの解説文。
参った。読みたい本が次から次へと出てきて。
「好きな人のすすめる本が必ずしも面白いとは限らない」
という私の中の定説が、一瞬ゆらいで、ゆらいだ末にある本などは即座に注文までしてしまった。
読売新聞の書評もいつも楽しみにしていたが、こうして一冊にまとまったものを読むことにより、その魅力を再確認した。気取らない文章で、謙虚に、ときには熱く川上氏は書評を書かれている。その生真面目さに打たれた。
ただ、この本はひたすら「褒めている」書評集なので、川上氏の貶し言葉もちょっと読みたい気もした。
75点
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