忍者ブログ

司馬遼太郎が考えたこと 1

司馬遼太郎(新潮社)

 十五巻にのぼる随筆集の第一巻。1953年からの8年間の記録。
 歴史小説が苦手なので、司馬氏の本はこれが初めてであった。とても面白く読めた。

 短文が多いなか、ちょっと長めの「家康について」が良かった。歴史に疎い私でも、ちんぷんかんぷんになることもなく、飽きずに読めた。
 信長が現代に生きたとしたら前衛芸術家となり、秀吉は政治家、家康は高級官僚になったに相違ない……そんな想像に興味をかき立てられた。
 うってかわって、下戸の悲哀を描いた「わかってください 酒を飲む苦しみを…」というエッセイはとても愉快だった。上戸の奥様とのやりとりが絶妙。
70点
PR

九月が永遠に続けば

沼田まほかる(新潮社)

 八年前に離婚した佐知子は、高校生の息子と二人で暮らしていた。その息子がある日失踪してしまう。必死に行方を捜す佐知子だったが、ほどなくして彼女の愛人が事故死する。二つの出来事はどうやら無関係ではないらしい。深まる謎の中で佐知子の焦燥は募ってゆくのだが……。

 佐知子がときに突拍子もない言動にでるので、そのへんがちょっと白けた。が、テンポ良く進むストーリーと次々と明かされる驚愕の真実に、ほとんど一気読みしてしまった。
 難点は佐知子の別れた夫の後妻の描き方、であろうか。男を狂わせる魔性の女だということは理解したが、ここまで卑猥な描写が果たして必要だったのだろうか。
80点

思考の整理学

外山滋比古(筑摩書房)

 「考えるってなぁに?」を教えてくれる本。
 論理ばかりこねくり回してわけが分からない本が多いなか、本書はきっちりと具体例を示していて明快でいい。

 試験の前日、まったく関係ない本が目に留まり、ふと読んでしまう、ずんずん読んでしまう。それがきっかけとなって新しい関心の芽が出てくるなら、それも良し、とか。
 浮かんだ考えを書きとめておくノートの作り方(図解入りでかなり詳細)、とか。

 しかし何といっても本書の読みどころは「文庫本のあとがきにかえて」ではないだろうか。
 アメリカ人は言う、日本人は二言目には「I think……」と言うが、そんなに思索的なのか?
 これはただ断言するのが苦手な日本人が、文末に「……と思います」と言っているだけだというオチ。では「I think」の核心に迫るにはどうしたらいいのか。答えは本書にある。
70点

破線のマリス

野沢尚(講談社)

 瑤子はテレビ局で働く、腕の良い映像編集者だった。
 あるとき、見ず知らずの男性から一本のビデオテープを手渡される。そこには郵政省の官僚が、ある殺人事件に関わっているかのような映像があった。
 瑤子は作為的にそのビデオを編集し、電波に乗せてしまう。彼女の恐怖はそこから始まった……。

 読んでいる間中、瑤子の我の強さに辟易した。彼女はいつも孤軍奮闘しているように描かれているが、それはそうなるべくしてなっているだけで、同情の余地も無い。
 ラストも救いがなく、後味の悪い作品だった。
55点

切り裂きジャック・百年の孤独

島田荘司(集英社)

 1888年、ロンドン中を震え上がらせた「切り裂きジャック」。百年の時を経て、ベルリンで同様の事件が起きる。二つの事件は関係があるのか、ないのか。

 百年前の事件は迷宮入りしているが、本書はその謎をも解いている。犯人の動機は非常に意外なもので、でもありえなくはないと思わせる、説得力のあるものであった。
 しかし、現代に同じような事件が、同じような原因で起こるという部分は、少々無理があるのでは。どうせなら、動機が全く違ったものだったら、もっと驚かされたのでは? と思うのだが。
70点

カレンダー

04 2026/05 06
S M T W T F S
1 2
3 4 6 7 9
10 11 12 14 15 16
17 18 19 21 22
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[05/14 まきまき]
[05/14 ぴーの]
[04/29 まきまき]
[04/29 ぴーの]
[03/21 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析