忍者ブログ

慟哭

貫井徳郎(東京創元社)

 幼い子を狙った誘拐事件が続発するが、警察の捜査は膠着状態に陥る。捜査一課長である佐伯は、自身のスキャンダルも暴露されて、窮地に立たされる。
 同時進行で、ひとりの男が怪しげな新興宗教にのめり込んでゆく様も描き出される。一見、何の関係もなさそうな二つのストーリーは、やがて絡み合って……。

 犯人の正体の意外性たるや、アガサ・クリスティの作品群に匹敵する勢いであった。ここまで見事に騙されたら、むしろ小気味良い。
 そして犯人の動機が分かった瞬間、物語全体が違った色彩を帯びて見えてくる。
 途轍もなくやるせない、哀しい物語であった。
95点
PR

男と女のスリリング

戸田奈津子(集英社)

 「字幕 戸田奈津子」この表示に何度胸躍らせたことか。私の一番好きな映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も彼女の訳である。
 この本を読んで知ったが、字幕やさんになるために結構努力されたんですね。気付いた時には第一線で活躍中だったから意外だった。

 さて、紹介されている映画のセリフで心に残ったものを紹介しよう。
 まず「a heartstopper」。心臓を止める人という意味だが、映画の中では「心臓が止まるほどのイイ女」という使い方。くー、こんなふうに表現されたい。遠慮無く言って欲しい。
 次に「Thanks a mill」。これは「Thanks a million」百万べん、ありがとう、という意味。辞書には載ってない。
 最後は日本語の「ゴキブリホイホイ」は「roach motel」ゴキブリ・モーテル。笑える。
 そんな感じで生きた英語がたくさん載っていて結構楽しめた。
80点

司馬遼太郎が考えたこと 1

司馬遼太郎(新潮社)

 十五巻にのぼる随筆集の第一巻。1953年からの8年間の記録。
 歴史小説が苦手なので、司馬氏の本はこれが初めてであった。とても面白く読めた。

 短文が多いなか、ちょっと長めの「家康について」が良かった。歴史に疎い私でも、ちんぷんかんぷんになることもなく、飽きずに読めた。
 信長が現代に生きたとしたら前衛芸術家となり、秀吉は政治家、家康は高級官僚になったに相違ない……そんな想像に興味をかき立てられた。
 うってかわって、下戸の悲哀を描いた「わかってください 酒を飲む苦しみを…」というエッセイはとても愉快だった。上戸の奥様とのやりとりが絶妙。
70点

九月が永遠に続けば

沼田まほかる(新潮社)

 八年前に離婚した佐知子は、高校生の息子と二人で暮らしていた。その息子がある日失踪してしまう。必死に行方を捜す佐知子だったが、ほどなくして彼女の愛人が事故死する。二つの出来事はどうやら無関係ではないらしい。深まる謎の中で佐知子の焦燥は募ってゆくのだが……。

 佐知子がときに突拍子もない言動にでるので、そのへんがちょっと白けた。が、テンポ良く進むストーリーと次々と明かされる驚愕の真実に、ほとんど一気読みしてしまった。
 難点は佐知子の別れた夫の後妻の描き方、であろうか。男を狂わせる魔性の女だということは理解したが、ここまで卑猥な描写が果たして必要だったのだろうか。
80点

思考の整理学

外山滋比古(筑摩書房)

 「考えるってなぁに?」を教えてくれる本。
 論理ばかりこねくり回してわけが分からない本が多いなか、本書はきっちりと具体例を示していて明快でいい。

 試験の前日、まったく関係ない本が目に留まり、ふと読んでしまう、ずんずん読んでしまう。それがきっかけとなって新しい関心の芽が出てくるなら、それも良し、とか。
 浮かんだ考えを書きとめておくノートの作り方(図解入りでかなり詳細)、とか。

 しかし何といっても本書の読みどころは「文庫本のあとがきにかえて」ではないだろうか。
 アメリカ人は言う、日本人は二言目には「I think……」と言うが、そんなに思索的なのか?
 これはただ断言するのが苦手な日本人が、文末に「……と思います」と言っているだけだというオチ。では「I think」の核心に迫るにはどうしたらいいのか。答えは本書にある。
70点

カレンダー

12 2026/01 02
S M T W T F S
1 2
4 5 6 7 8 10
11 12 13 15 16
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

カテゴリー

フリーエリア

最新コメント

[01/17 まきまき]
[01/16 ぴーの]
[01/11 まきまき]
[01/11 もか]
[01/03 まきまき]

プロフィール

HN:
まきまき
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析