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よしなしごとども 書きつくるなり
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外山滋比古(筑摩書房)

 「考えるってなぁに?」を教えてくれる本。
 論理ばかりこねくり回してわけが分からない本が多いなか、本書はきっちりと具体例を示していて明快でいい。

 試験の前日、まったく関係ない本が目に留まり、ふと読んでしまう、ずんずん読んでしまう。それがきっかけとなって新しい関心の芽が出てくるなら、それも良し、とか。
 浮かんだ考えを書きとめておくノートの作り方(図解入りでかなり詳細)、とか。

 しかし何といっても本書の読みどころは「文庫本のあとがきにかえて」ではないだろうか。
 アメリカ人は言う、日本人は二言目には「I think……」と言うが、そんなに思索的なのか?
 これはただ断言するのが苦手な日本人が、文末に「……と思います」と言っているだけだというオチ。では「I think」の核心に迫るにはどうしたらいいのか。答えは本書にある。
70点
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野沢尚(講談社)

 瑤子はテレビ局で働く、腕の良い映像編集者だった。
 あるとき、見ず知らずの男性から一本のビデオテープを手渡される。そこには郵政省の官僚が、ある殺人事件に関わっているかのような映像があった。
 瑤子は作為的にそのビデオを編集し、電波に乗せてしまう。彼女の恐怖はそこから始まった……。

 読んでいる間中、瑤子の我の強さに辟易した。彼女はいつも孤軍奮闘しているように描かれているが、それはそうなるべくしてなっているだけで、同情の余地も無い。
 ラストも救いがなく、後味の悪い作品だった。
55点
島田荘司(集英社)

 1888年、ロンドン中を震え上がらせた「切り裂きジャック」。百年の時を経て、ベルリンで同様の事件が起きる。二つの事件は関係があるのか、ないのか。

 百年前の事件は迷宮入りしているが、本書はその謎をも解いている。犯人の動機は非常に意外なもので、でもありえなくはないと思わせる、説得力のあるものであった。
 しかし、現代に同じような事件が、同じような原因で起こるという部分は、少々無理があるのでは。どうせなら、動機が全く違ったものだったら、もっと驚かされたのでは? と思うのだが。
70点
相田みつを・佐々木正美(小学館)

 「子育て」に関連性のある詩をまとめた詩集。帯にある「心の休憩室」という言葉が、的確に本書の内容を表していると思う。
 ひとつひとつの詩に解説があって、それもまた心に響く。
 読んだ瞬間は「そうだよねぇ。子供の良いところに目を向けてあげないとね」とつくづく思わされた。
 ま、でもそんな思いは、子供を前にすると吹っ飛んでしまうのが世の常でして、日日是葛藤。
75点
島村洋子(角川書店)

カリスマ的人気を誇る橘リリカ。忙しい彼女に代わってリハーサルなどで代役を務めていた藤村しのぶ。彼女も元アイドルだったが鳴かず飛ばずで、失意のうちにその職業に就いたのだった。
 そんなこととは知らずにしのぶを振り回すリリカ。やがてしのぶの憎悪は頂点に達し……。

 前半の設定が分かりづらかった。誰のことを書いているのか、判然としないのである。
 そしてラストのクライマックスが、まるでB級ホラー映画のようであった。無意味に人が死んで後味が悪い。
50点
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