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夜の記憶

トマス・H・クック(文藝春秋社)

 まず、劇中劇というか、小説中小説の手法がおもしろかった。
 主人公は、ミステリー作家。彼は幼くして両親を亡くし、その後、姉も惨殺されてしまう。しかも彼の目の前で。彼は、事あるごとにそのシーンを回想する。姉がどんなふうに殺されたか、どんなことを言ったか。それが「しつこい」と「適度」の間を行ったり来たり……かなり微妙。

 この作品、全体的には好印象だったが、疑いを掛けられていた人物が実は犯人ではなかった、ということがわかった後の部分が、少しだけ説明不足のような気がした。単に私の読み込み不足か(今回はなぜか謙虚)。
70点
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夜の来訪者」ジョン・ボイントン・プリーストリー(岩波書店

ジョン・ボイントン・プリーストリー(岩波書店)

 三幕からなる戯曲。さくっと読める長さだが、内容は濃い。
 街の実力者バーリング。彼の家では今宵、娘の婚約を祝うささやかなパーティが催されていた。そこへ突然グール警部という男が訪ねてくる。ある女性が自殺したことについて、バーリング家の人々に訊きたいことがあるという……。

 誰もが自分は無関係だと思っていた。だが誰もが女性の人生に多大な影響を与えていた。その事実を知ったとき、素直に反省するもの、罪を認めようとしないもの、言い訳に終始するもの、それら様々な反応が各人の人間性をあぶりだしていて面白い。

 娘が父親に言ったひと言、
 「問題は、お父さんたちが何ひとつ学んでないってことなのよ」
 は、何があっても自分の価値観を変えようとしない人間を痛烈に批判していて、私自身もぎくりとなった。
85点

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