ルシア・ベルリン(講談社)
短編集。「沈黙」を紹介しよう。
テキサスに引っ越しした「わたし」は高級な女子小学校に入学する。学校には馴染めず図書室だけが心のよりどころだった。しかし校内で盗難事件が起きて「わたし」に疑いの目が向けられ……。
どれもこれも筆者の実体験に基づいた作品だという。
脊椎湾曲症で浮浪児みたいな服装の「わたし」。アル中ですぐ暴力を振るう母親。歯科医としての腕はいいが変人の祖父。家も学校も地獄だったと彼女は言う。そんな地獄がさらりと描かれている。
本当に、さらりと。その率直さに胸を打たれた。たとえばこんな一節。
ホースから直接水を飲んだら、先生にホースをひったくられて、野蛮人と言われた。
子どもになら酷い言葉を投げつけていいと思っている大人は多い。しかし言われたほうは深く傷つくし、決して忘れない。
この短編は少女時代の話だが、筆者はバツ3でシングルマザーとして4人の子どもを育てたそうだ。いろいろな仕事をし、自身のアルコール依存にも苦しんだ。
そんな苦難に満ちた人生が、彼女の創作の原動力であったのかもしれない。
70点
短編集。「沈黙」を紹介しよう。
テキサスに引っ越しした「わたし」は高級な女子小学校に入学する。学校には馴染めず図書室だけが心のよりどころだった。しかし校内で盗難事件が起きて「わたし」に疑いの目が向けられ……。
どれもこれも筆者の実体験に基づいた作品だという。
脊椎湾曲症で浮浪児みたいな服装の「わたし」。アル中ですぐ暴力を振るう母親。歯科医としての腕はいいが変人の祖父。家も学校も地獄だったと彼女は言う。そんな地獄がさらりと描かれている。
本当に、さらりと。その率直さに胸を打たれた。たとえばこんな一節。
ホースから直接水を飲んだら、先生にホースをひったくられて、野蛮人と言われた。
子どもになら酷い言葉を投げつけていいと思っている大人は多い。しかし言われたほうは深く傷つくし、決して忘れない。
この短編は少女時代の話だが、筆者はバツ3でシングルマザーとして4人の子どもを育てたそうだ。いろいろな仕事をし、自身のアルコール依存にも苦しんだ。
そんな苦難に満ちた人生が、彼女の創作の原動力であったのかもしれない。
70点
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