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よしなしごとども 書きつくるなり
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山田詠美(中央公論新社)

離婚して幼い子ども2人を連れて新生活を始めた蓮音。風俗店で働いて懸命に子どもを育てていたが、次第にホストクラブにのめり込み、家に帰らなくなる。締め切ったマンションの部屋、子どもたちは真夏の暑さの中で意識を失ってゆく……。

物語は蓮音とその母親である琴音を中心にして語られる。
琴音の育った環境も最悪なものだった。父親は家族を暴力で支配していて、見境なく手を挙げるような人だった。外では大人しく地味な人、しかし突然狂ったように暴力を振るう父親。
そんな父親の亡き後、母親はある男の愛人となるがその男は琴音を、今度は性暴力で痛めつける。

次々に不幸がふってくる琴音のような人生。
その子どもである蓮音もまた琴音が突然家出した後、弟たちの面倒をみながら必死に生きる。かっこつけるばかりで頼りにならない父親に代わって。

忌み嫌っていたはずの親なのに、気付けば自分も育児放棄……いったいなぜ? 蓮音は自問自答する。
こんな一節がある。
やり方を知らないんだ、と思う。人に可愛く頼ったり、可憐にすがり付く方法が蓮音には、どうしても解らない。

思わずため息が漏れた。分かりすぎる。
蓮音の夫も義母も善人ではあったが、それゆえ彼女の心理が理解不能だったのだろう。ただ人格を否定せずに温かく包み込んで欲しい……彼女の願いはそれだけだったと思う。

非常に読んでいて苦しい一冊であったが、琴音、蓮音親子について羨ましい点がひとつあった。
病気の描写はなかったので、きっと身体だけは丈夫だったのだろう。
私が育った環境は彼女たちほど劣悪ではなかったが、自身の虚弱さが世界を暗くしていた。
(隙自語ですみません)
75点

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