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よしなしごとども 書きつくるなり
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堀江敏幸(新潮社)

 連作短編集。
 雪沼という小さな街で暮らす人々の日常を、丁寧に描いている。
 「送り火」という作品を紹介しよう。
 書道教室を営む陽平さんと絹代さん夫妻。ふたりには由(ゆい)という息子がいたが、小学生のときに事故で亡くなってしまう。その13回忌のとき、絹代さんは息子に関するある話を耳にし……。

 子供の命を救ったかもしれぬ小さな灯り。絹代さんが蒐集するランプの灯り。それらがシンクロして、悲しい陰影を形づくる。
 いずれの短編も味わい深く、文章には透明感がある。それゆえ退屈な部分もあり、「純文学」好きにウケそうな雰囲気ではある。
70点
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