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よしなしごとども 書きつくるなり
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百田尚樹(講談社)

 第二次世界大戦で特攻隊員として死んだ祖父。孫の健太郎は、フリーライターをしている姉に頼まれ、祖父の生涯を追うことになる。戦友たちが語る祖父の人物像とは……。

 いわゆる戦争モノと言われる本をわずかばかり読んだことはあったが、どれもこれも陰惨で、もうこの手の本は読むまいと思わせるものばかりだった。が、この作品を読んで意識が変わった。戦争モノ、素晴らしいじゃない!

 健太郎の祖父・宮部は、志願兵でありながら死ぬことを極度に恐れていたため、周囲からは臆病者と蔑まれていた。しかし抜群の飛行技術を持ち、部下にも優しく接し、いつも紳士然としていたため、慕う人間も多かった。
 彼は妻子のために絶対生きて帰ると心に誓っていた。それを態度に表すことこそ、当時は勇気が要ることだったのだ。そんな彼が、なぜカミカゼとなったのか?
 そのわけが明らかとなったとき、本当に涙が止まらなかった。彼の男気に心底感動した。
 他に、零戦の性能のこと、軍の上層部の無能ぶり、真珠湾攻撃の真実等々、まったく興味も知識も無かった事柄について知ることができ(どこまでノンフィクションなのか不明だが)、その意味でも優れた作品であった。
95点
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