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きみの友だち

重松清(新潮社)

 短編が連なってゆるやかな長編をかたちづくるお話(文庫版あとがきより)。

 物語の舞台は小学校高学年から中学にかけての学校。そこには鼻持ちならない男子が、優しくて気弱な女子が、八方美人ゆえに疲弊してゆく女子が、ライバルに勝てずに焦る男子が、いた。
 『ふらふら』を紹介しよう。クラスで孤立するのがこわくて、道化を演じる堀田芳美。しかしささいなきっかけで「はじかれ」てしまう。昨日まで、さっきまで友だちだと思っていた女子が、冷たい言葉を投げつける。
 その空気、雰囲気が痛いほどわかるから、私の胸も締め付けられる。

 どの話も何となく経験したような、あるいはいつか見たようなものが多い。その頃の自分の未熟さや自意識過剰っぷりが思い出されて、居てもたってもいられないような気持ちになった。
 そして今、この瞬間も学校で苦しんでいる子はたくさんいるだろう。学校だけがすべてじゃない、なんて言っても気休めにしか聞こえないだろう。そんな子に、この本を最後まで読んで欲しい、と(作者でもないくせに)痛切に願った。
 今日を乗り越えたら明日はくる。明日を乗り越えたらあさってが来る。そうしていつか「戦争」は終わる、はずだから。
85点
 

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雲。

読みましたー。娘は今、読んでます。
「全部の登場人物が学校にいる感じ!」
って興奮してました。

Cakeさんは千羽鶴の子でしたか。
根は良い子ですよね。いじめられて、計算する良い子になっちゃったのがかわいそうでした。

ラスト、確かに出来杉~。
でも不覚にも泣きました。くそぉ、重松氏に負けた気がするっ。
  • まきまき
  • 2012/09/11(Tue)12:28:22
  • 編集

もこもこ

読まれたのですね。私も堀田ちゃんは印象深いですね。あと「自己満足の千羽鶴」の子の話が地味に痛かったです。私がこのタイプだったので。

エンディングは賛否ありそう。大人としては出来すぎな気がしますが、こどもにはこんな感じが良いのかなぁ、なんて。
  • Cake
  • 2012/09/10(Mon)20:23:58
  • 編集

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