沢木耕太郎(新潮社)
デリーからロンドンへ向かう放浪の旅。そのトルコ・ギリシャ・地中海編。
まずトルコ。案内役をかって出てくれた若者の話が良い。
見知らぬ外国人に親切にしてくれる彼。筆者がお礼をしたいというと、彼は「マネー」と返事をする。「なんだ、やっぱり金か」と筆者は落胆するが、彼が求めたのは、日本の硬貨だった。記念に、ただ一つだけ、コインを……。若者の心根の美しさに、私も感動した。
次にギリシャ。ジプシーと呼ばれる人たちの現実を初めて知った。野卑だが生命力に溢れた彼ら。留まることなくことなく流れてゆく彼らの生活は、いきおい刹那的にならざるを得ないのだろう。
最後は地中海の海上からの手紙。風景の描写が素晴らしい。「海も空も陸さえも青い……しかもその青がそれぞれ異なる輝きを持っている……山々は淡く透きとおるようなブルーだった」。この目で見ずにはいられない気持ちになった。
紹介したい部分は尽きない。こんなに夢中になれる旅行記は小田実の「何でも見てやろう」以来であった。いつかギリシャに行きたいと思っていた私だが、トルコもぜひとも行ってみたい国になった。
90点
デリーからロンドンへ向かう放浪の旅。そのトルコ・ギリシャ・地中海編。
まずトルコ。案内役をかって出てくれた若者の話が良い。
見知らぬ外国人に親切にしてくれる彼。筆者がお礼をしたいというと、彼は「マネー」と返事をする。「なんだ、やっぱり金か」と筆者は落胆するが、彼が求めたのは、日本の硬貨だった。記念に、ただ一つだけ、コインを……。若者の心根の美しさに、私も感動した。
次にギリシャ。ジプシーと呼ばれる人たちの現実を初めて知った。野卑だが生命力に溢れた彼ら。留まることなくことなく流れてゆく彼らの生活は、いきおい刹那的にならざるを得ないのだろう。
最後は地中海の海上からの手紙。風景の描写が素晴らしい。「海も空も陸さえも青い……しかもその青がそれぞれ異なる輝きを持っている……山々は淡く透きとおるようなブルーだった」。この目で見ずにはいられない気持ちになった。
紹介したい部分は尽きない。こんなに夢中になれる旅行記は小田実の「何でも見てやろう」以来であった。いつかギリシャに行きたいと思っていた私だが、トルコもぜひとも行ってみたい国になった。
90点
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