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よしなしごとども 書きつくるなり
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川上弘美(幻冬舎)

記憶というものがいっさいなかったわたしは、蔵医師に言われるがまま丹羽ハルカ(16歳)になることにした。そこから数ヵ月、数年、あるいは数十年おきに、わたしは性別も年齢も様々な人間になっていった……。

なんて面白くて興味深くて斬新な小説! カワカミさん、ありがとうってお礼が言いたくなるほどの。
こういうありえない話は違和感ありありになるのが普通だが、どこまでも自然に設定が受け入れられた。それどころか、こういう「某」って身近にいるかもしれないとさえ思った。
というか、誰しも「某」な部分があるのではないか。幼い頃の私、学生の、成人した、結婚した、母親になった私。そのときどきで出会った人たちは、私のことをどう評するだろうか。おとなしい、出しゃばりな、仕切り屋の、ノリがいい、変わった、控えめな、私。環境によってキャラクターが変わるほうだと自認しているので、様々な意見が出そうだ。
人間の多面性とか、そういう暗喩を含んでいるのかと思ったりもしたが、たぶん主題はそこではない。終盤の「ひかり」の章では、そこまでとは一線を画す展開が待っていた。ネタバレなので内容は書けないが、それこそが筆者が言いたいことだった気がした。字にすると陳腐だが「愛って何?」という話。

余談だが川上氏はひらがなの使い方が本当に秀逸。「……くちぶりで答えた」。これは絶対「口振り」ではないのだ。「目をみひらく」。これも「見開く」では決してない。
そんな細かい想いを(勝手に)考えながら読むのもまた一興。
100点

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