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よしなしごとども 書きつくるなり
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望月通陽(偕成社)



 タイトルどおり、イギリスの愛の歌14曲の歌詞が紹介されている。
 布目調のイラストが独特の世界を作り上げている。
 大昔から日本に伝わる「型染め」という染色方法らしい。
 歌詞によってはユーモラスに見えたり、あるいは物悲しく見えたりもするから不思議だ。

 この本の曲が収められたCD「サリー・ガーデン」も聞いてみたが良かった。
 何気なく聞いていた「グリーンスリーブス」や「スカボロー・フェア」を、新鮮な気持ちで聞くことができた。

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さかてしんこ(新風舎)



 ポポちゃんのおじいさんはサンタクロース。
 クリスマスの日、おじいさんは風邪をひきプレゼントを届けに行くことができなくなる。
 ポポちゃんが代わりに子どもたちにプレゼントを届けるが……。

 黒いふちどりのある、はっきりとした絵に惹かれて手にした本だったが、内容もなかなか良かった。
 戦争をしている国の子ども。
 孤児院にいる子ども。
 そんなあまり幸せそうでない子どもたちも、がんばって生きている。
 ポポちゃんは、いろんな子どもたちに出会ってひとつ大人になりました……
 展開はベタだが、それも悪くないと思わせる一冊であった。

アンディ・ライリー(青山出版社)



 いろいろと凝った(あるいはしち面倒くさい)方法で死のうとするうさぎたち。
 懸命に自殺を図る、かわいくもシュールなうさぎたち。

 この表紙をご覧いただければもうこの本の面白さはご想像いただけると思う。

 うさぎの、みじん切りあり、ミンチあり、輪切りあり、鳥葬あり。
 ちょっと悪趣味だけれど、うさぎが飄々と死んでいく様はどこか愉快だ。

ミヒャエル・ゾーヴァ、那須田淳(小峰書店)



 ミヒャエル・ゾーヴァの絵と那須田淳の文章による画文集。

 普通のおじさんっぽいひとが波乗りしながら本を読んでいる「午後のまどろみのなかで」。
 洪水の中に小舟が浮かんでいる「小さな勝利」。
 この二枚の絵は、水の描き方がとにかく素晴らしい。

 うねり、落ちかかる水、白く光る波頭。
 水音が聞こえてきそうな絵である。

 他にフルーツたちが楽しげに笑いあう「乾杯」の明るさもいいし。
 七面鳥がとぼとぼ歩いているような「なにかが道をやってくる」の暗さもいい。

レオ=レオニ(好学社)



 ちいさい、黒い、賢いさかな、スイミー。
 スイミーは、海の中でいろいろな生き物たちに出会う。
 そしてやがて、自分にそっくりな小さいさかなたちにも。

 どのページにも、黒い点のようにスイミーがいる。
 そのほぼ同じ絵が、さびしそうにも楽しそうにも見えるから不思議だ。

 翻訳は谷川俊太郎。
 一切の無駄を排した、歌うような文が、良い。

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