忍者ブログ
ADMINWRITE
よしなしごとども 書きつくるなり
[405]  [406]  [407]  [408]  [409]  [410]  [411]  [412]  [413]  [414]  [415
内田百閒(パロル舎)




 短編集。六つの作品が収められている。

 『件(くだん)』がよかった。
 からだが牛で顔だけ人間の「件」になってしまった「私」。
 「件」は何らかの予言をするというが「私」は何を予言したらいいのか分からない。
 人々が集まってきて途方に暮れる「私」。

 百閒の謎めいた文章もすばらしいが、版画がまた良い。
 おどろおどろしく、それでいてどことなく滑稽。
 「件」のラストの絵がカバーにも描かれているが、物語のラストのおかしみをうまく表現していると思う。

PR
エリック・バトゥー、谷内こうた(講談社)




 1月から12月まで、自然の中で生きる動物たちの想いを描いた一冊。

 どの絵も、広々とした場所があって、そこに動物がちょこんと描かれている。
 動物たちはみなユーモラスで可愛い。

 「1月、まっている……」で始まる月々の短い言葉も、絵の邪魔になることなく良い味を出している。

 それにしても11月は、もうさむい……って。
 私の生まれ月は、作家でさえしゃれたことが言えない月なのか?

宮澤賢治(パロル舎)




 蟹の兄弟が、青い水の底で見た世界。
 色がすばらしい。
 五月の、光差す水の中は青磁色
 十二月のつめたい水は紺青色
 そして物語が綴られた文字の背景色は青鈍(あおにび)
 うっとりするような色使いである。

 もちろん、宮澤賢治の独特のストーリーもまた良い。
 兄弟のちょっとした諍いは微笑ましく、途中で登場する父親は、凛々しくててすてきだ。

 それから擬音の使い方がすごい。
 「……その上には月光の虹がもかもか集まりました」
 なんて、一体誰がこんな擬音を思いつくだろう。

カレル・チャペック、藤本将(フェリシモ)




 郵便屋さんのコルババは、あるとき宛名も差出人も書かれていない手紙を見つける。
 妖精に聞いたら、その手紙はプロポーズの手紙だというので、彼は受取人である娘を探しに旅に出る。

 ストーリーが愉快だった。
 妖精などという可愛らしいものを登場させたと思ったら、彼らに「人間がこぼしたパンくずをゴキブリのように食べる」と言わせたり。
 コルババが差出人を見付けたと思ったら、彼をけちょんけちょんに貶したり。

 藤本将氏の絵もノスタルジックな雰囲気でストーリーに合っている。

藤原一枝、はたこうしろう(岩崎書店)




 ゆいは小学一年生。
 ある日街に雪が降って、下校途中に遊びまくったゆいは、一人で家に向かう羽目に。
 ひどい寒さにだんだん心細くなっていくゆいだが……。

 主人公ゆい君がとても可愛らしくて、もうそれだけでこの絵本は合格! という気持ちになった。
 周りの大人に優しくしてもらって、帰ったらお兄ちゃんにいろいろ面倒みてもらって、良かったね、ゆい君。
 と、素直に思えた。

 雪が降ってはしゃぐ子どもたちも本当に楽しそうで、自分が幼い頃に感じたわくわく感を追体験することができた。

カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1
3 5 6 7 8 9
10 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[11/06 まきまき]
[11/06 もか]
[11/06 まきまき]
[11/06 もか]
[11/02 まきまき]
プロフィール
HN:
まきまき
性別:
女性
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
アクセス解析

Designed by 湯月   Material by ウタノツバサ
Copyright c [ Back To The Past ] All Rights Reserved.

忍者ブログ [PR]