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よしなしごとども 書きつくるなり
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蜂飼耳、大野八生(径書房)




 ひとり暮らしののぞみさんの部屋に、おおきめの小鳥とちいさめの小鳥が住みついた。
 コーヒーが好きなおおきめの小鳥。
 無口で達筆なちいさめの小鳥。
 ひとりと二羽の、物語。

 のぞみさんの、執着しない、あっさりとした気質がいいと思った。
 膨張する鳥かごも、自分の肩で眠る小鳥も、ぼんやりと受け入れる。
 小鳥の旅立ちでさえ一瞬の喪失感はあるものの、やっぱり受け入れる。
 そんなのぞみさんっていいな、と思った。

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マージェリィ・W・ビアンコ、酒井駒子(ブロンズ新社)




 ビロードでできたおもちゃのうさぎは、ぼうやのお気に入り。
 いつも一緒だったけど、あるときぼうやが病気になって……。

 絵がすばらしい。
 うさぎの愛らしさ、ぼうやの愛らしさに、思わず見入ってしまった。
 木いちごや野うさぎといった脇役たちも美しく描かれている。

 ストーリーもいい、特にラストが。
 私が大切にしていたぬいぐるみも、このうさぎのような運命をたどってくれたかな、なんてがらにもなく思ってしまった。

石川賢治(小学館)



 僅かな満月の光で、自然に生きるものたちを撮った作品。
 美しく、幻想的な世界が広がる。

 急に暗くなると、しばらく物が見えなくなる。
 この時ちょっとしたもどかしさを感じる。
 で、だんだん目が慣れてきて見えてくる。
 その瞬間の、霧が晴れたような清々しい気分を集めたような写真集だと思った。

 どこかの森の奥深く、人知れず生きているキノコは、今宵もこんなふうにぼぉっと白く、そして仄かに光っているのであろうか。

サイモン・ジェームズ(評論社)




 レオンはママと二人でこの町に引っ越してきたばかり。
 でも友達のボブがいるからさびしくはない……誰にも見えないけど、ボブはいつも一緒にいるから。

 レオンが見ていた「ボブ」って一体誰? なんて無粋な疑問は置いておいて。
 レオン君は六歳くらいかな? 家のドアもベッドも大きくて、彼の小ささ、さびしさを際立たせる。

 ほとんどのページで一人ぼっちのレオン。
 でも最後には……このラストの見開きのページがとても温かくて好きだ。

オスカー・ブルニフィエ(朝日出版社)



 「おもったことはなんでも口にするべきだろうか?」
 「ひとにやさしくしようとおもう?」
 などの六つの質問に、いくつかの答えが出ていて、さらに
 「そうだね、でも…」
 という問いが発せられる。
 子供の「なぜ?」を楽しく考える絵本だそうだ。

 たとえば前述の最初の質問には
 「うん、そのほうが、すっきりするもの」
 「そうだね、でも…自分ひとりの心の奥に、そっとしまっておいたほうがいいことだって、あるんじゃない?」
 と書かれている。
 大人でもこれが出来ない人間が、いる。

 というわけで、大人が読んでも考えさせられる絵本である。

 挿絵は、鋭く問題の核心を突いていながらとぼけた雰囲気の絵で、なかなか見ごたえがあった。

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