蜂飼耳、大野八生(径書房)
ひとり暮らしののぞみさんの部屋に、おおきめの小鳥とちいさめの小鳥が住みついた。
コーヒーが好きなおおきめの小鳥。
無口で達筆なちいさめの小鳥。
ひとりと二羽の、物語。
のぞみさんの、執着しない、あっさりとした気質がいいと思った。
膨張する鳥かごも、自分の肩で眠る小鳥も、ぼんやりと受け入れる。
小鳥の旅立ちでさえ一瞬の喪失感はあるものの、やっぱり受け入れる。
そんなのぞみさんっていいな、と思った。
ひとり暮らしののぞみさんの部屋に、おおきめの小鳥とちいさめの小鳥が住みついた。
コーヒーが好きなおおきめの小鳥。
無口で達筆なちいさめの小鳥。
ひとりと二羽の、物語。
のぞみさんの、執着しない、あっさりとした気質がいいと思った。
膨張する鳥かごも、自分の肩で眠る小鳥も、ぼんやりと受け入れる。
小鳥の旅立ちでさえ一瞬の喪失感はあるものの、やっぱり受け入れる。
そんなのぞみさんっていいな、と思った。
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マージェリィ・W・ビアンコ、酒井駒子(ブロンズ新社)
ビロードでできたおもちゃのうさぎは、ぼうやのお気に入り。
いつも一緒だったけど、あるときぼうやが病気になって……。
絵がすばらしい。
うさぎの愛らしさ、ぼうやの愛らしさに、思わず見入ってしまった。
木いちごや野うさぎといった脇役たちも美しく描かれている。
ストーリーもいい、特にラストが。
私が大切にしていたぬいぐるみも、このうさぎのような運命をたどってくれたかな、なんてがらにもなく思ってしまった。
ビロードでできたおもちゃのうさぎは、ぼうやのお気に入り。
いつも一緒だったけど、あるときぼうやが病気になって……。
絵がすばらしい。
うさぎの愛らしさ、ぼうやの愛らしさに、思わず見入ってしまった。
木いちごや野うさぎといった脇役たちも美しく描かれている。
ストーリーもいい、特にラストが。
私が大切にしていたぬいぐるみも、このうさぎのような運命をたどってくれたかな、なんてがらにもなく思ってしまった。
石川賢治(小学館)
僅かな満月の光で、自然に生きるものたちを撮った作品。
美しく、幻想的な世界が広がる。
急に暗くなると、しばらく物が見えなくなる。
この時ちょっとしたもどかしさを感じる。
で、だんだん目が慣れてきて見えてくる。
その瞬間の、霧が晴れたような清々しい気分を集めたような写真集だと思った。
どこかの森の奥深く、人知れず生きているキノコは、今宵もこんなふうにぼぉっと白く、そして仄かに光っているのであろうか。
僅かな満月の光で、自然に生きるものたちを撮った作品。
美しく、幻想的な世界が広がる。
急に暗くなると、しばらく物が見えなくなる。
この時ちょっとしたもどかしさを感じる。
で、だんだん目が慣れてきて見えてくる。
その瞬間の、霧が晴れたような清々しい気分を集めたような写真集だと思った。
どこかの森の奥深く、人知れず生きているキノコは、今宵もこんなふうにぼぉっと白く、そして仄かに光っているのであろうか。
サイモン・ジェームズ(評論社)
レオンはママと二人でこの町に引っ越してきたばかり。
でも友達のボブがいるからさびしくはない……誰にも見えないけど、ボブはいつも一緒にいるから。
レオンが見ていた「ボブ」って一体誰? なんて無粋な疑問は置いておいて。
レオン君は六歳くらいかな? 家のドアもベッドも大きくて、彼の小ささ、さびしさを際立たせる。
ほとんどのページで一人ぼっちのレオン。
でも最後には……このラストの見開きのページがとても温かくて好きだ。
レオンはママと二人でこの町に引っ越してきたばかり。
でも友達のボブがいるからさびしくはない……誰にも見えないけど、ボブはいつも一緒にいるから。
レオンが見ていた「ボブ」って一体誰? なんて無粋な疑問は置いておいて。
レオン君は六歳くらいかな? 家のドアもベッドも大きくて、彼の小ささ、さびしさを際立たせる。
ほとんどのページで一人ぼっちのレオン。
でも最後には……このラストの見開きのページがとても温かくて好きだ。
オスカー・ブルニフィエ(朝日出版社)
「おもったことはなんでも口にするべきだろうか?」
「ひとにやさしくしようとおもう?」
などの六つの質問に、いくつかの答えが出ていて、さらに
「そうだね、でも…」
という問いが発せられる。
子供の「なぜ?」を楽しく考える絵本だそうだ。
たとえば前述の最初の質問には
「うん、そのほうが、すっきりするもの」
「そうだね、でも…自分ひとりの心の奥に、そっとしまっておいたほうがいいことだって、あるんじゃない?」
と書かれている。
大人でもこれが出来ない人間が、いる。
というわけで、大人が読んでも考えさせられる絵本である。
挿絵は、鋭く問題の核心を突いていながらとぼけた雰囲気の絵で、なかなか見ごたえがあった。
「おもったことはなんでも口にするべきだろうか?」
「ひとにやさしくしようとおもう?」
などの六つの質問に、いくつかの答えが出ていて、さらに
「そうだね、でも…」
という問いが発せられる。
子供の「なぜ?」を楽しく考える絵本だそうだ。
たとえば前述の最初の質問には
「うん、そのほうが、すっきりするもの」
「そうだね、でも…自分ひとりの心の奥に、そっとしまっておいたほうがいいことだって、あるんじゃない?」
と書かれている。
大人でもこれが出来ない人間が、いる。
というわけで、大人が読んでも考えさせられる絵本である。
挿絵は、鋭く問題の核心を突いていながらとぼけた雰囲気の絵で、なかなか見ごたえがあった。