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よしなしごとども 書きつくるなり
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マーガレット・マヒー、スティーブン・ケロッグ(ほるぷ出版)




 ロバートがある日学校から帰ろうとしたら、一匹のカバが後を付いてきた。
 家までカバは付いてきて、翌日はまた学校まで付いてきた……。

 少し古めかしい絵がノスタルジックで良い。
 しかも細部まで見ると、いろいろな小技が効いているのだ。
 窓から教室を覗くカバ、階段の手すりを滑る子ども、生徒たちが帰る時には疲れ果てた様子の先生などなど、遊び心いっぱいだ。
 ストーリーも馬鹿馬鹿しくて良い。
 庭がカバだらけになってやっと行動を起こしたパパ……遅いって。

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エリオット・アーウィット(JICC出版局)




写真家エリオット・アーウィットによる、世界中で撮った犬の写真集。

彼自身による序文がいい。
「犬は絶対的な、燃えるような愛情を返してくれる」。
一度でも犬を飼ったことがあるかたなら、激しく同意するであろうこの言葉。
犬はいつも主人を待っている。
主人の気まぐれに、根気良く付き合ってくれる。
飼い主と犬というのは、ギブ&テイクではなく、ギブ&テイク×5くらいの勢いなのである。

写真も、もちろん素晴らしい。
どこか困ったような、「やれやれ」といった表情(実際は何にも困ってないのだろうが)。
ちんまりと座って思案しているような姿(実際は何も考えてないのかもしれないが)。
犬らしい(?)ちょっと間抜けな顔が、特に可愛らしくてたまらない。

(本書、ハードカバー版は高額ですが、ぜひそちらをご覧になって欲しいです)

アイナール・トゥルコウスキィ(河出書房新社)




 見知らぬ男が船でやってきて、一軒の廃屋に住みついた。
 町の人たちは男のことが気になってならない。
 どうやら男は雲を操って、そこから魚を獲るらしい……。

 一本のシャーペンで描かれたという絵の、その緻密さに驚いた。
 当然モノクロなのだが、そこには色彩を超越した陰影があり、独特の質感が広がっている。

 狡猾そうな町の人々の表情、黒く垂れ込める雲、不気味な機械の数々。
 見ているだけで不穏な気分になる刺激的な絵は、一見の価値がある。

ジョン・ペーメルマンス・マルシアーノ(BL出版)




 パリに住む12人の女の子たち。彼女たちと一緒に学ぶ、人と接するときのマナー。
 小さな女の子が、ちょっと気取って挨拶するさまが可愛い。

 「ありがとう」を言いましょう、たとえ既に七つも持っているものを貰ったときでも。
 人の話は最後まで聞きましょう、それを遮っていいのは、火事になった家を見つけたときです。
 等々、大のおとなでもはっとさせられる部分があって、思わず苦笑してしまった。

ウルスラ・ジェナジーノ、ヨゼフ・ウィルコン(セーラー出版)




 一人暮らしのミンケパットさん。
 彼は小鳥のさえずるメロディにあわせて、古いピアノをいつも弾いていた。
 近所の人々はそれを迷惑がったが、小鳥たちはいつしか彼の家に集まるようになり……。

 気難しそうなミンケパットさん。
 笑顔の絵はひとつもないのだが、小鳥たちといっしょに描かれた彼は、とても優しそうに見える。

 色味を抑えた渋い挿絵も良いのだが、ストーリーもまた良い。
 孤独な老人にも春は訪れる。
 そのシンプルさが良い。

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