新美南吉(偕成社)
小学校の国語の教科書に抜粋が載っていたような、あやふやな記憶があった。
で、ずっと気になっていて大人になってから絵本を買ったのだが、これが大感涙巨編(いや、長い話じゃないんだけど)だった。
いたずらもののごんぎつねはいつも悪さばかりしているが、本当は優しくて思いやりがある。
でもわかってもらえなくて、最後には……。
童話がこんなに理不尽でいいのか? と疑問にさえ思えるラスト。
小学校の国語の教科書に抜粋が載っていたような、あやふやな記憶があった。
で、ずっと気になっていて大人になってから絵本を買ったのだが、これが大感涙巨編(いや、長い話じゃないんだけど)だった。
いたずらもののごんぎつねはいつも悪さばかりしているが、本当は優しくて思いやりがある。
でもわかってもらえなくて、最後には……。
童話がこんなに理不尽でいいのか? と疑問にさえ思えるラスト。
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フローベール、姫野カオルコ(角川書店)
19世紀のフランス。
夢見がちな少女エマは、医師シャルル・ボヴァリーと結婚する。シャルルは人は良いが、退屈な男だった。エマはついに不倫に走るのだが……。
姫野カオルコの文がテンポ良く読ませる。「智恵子抄」をもじったり、「星影のワルツ」を挿入してみたり。
そんなふざけているような手法が、長々とした心理、情景描写よりよっぽど優れた説得力を持つようだ。
終盤の物悲しさも心に沁みた。きっと夫は、何があっても自分を許す……その予感に耐えられなくなるエマ。彼女の苦悩がひしひしと伝わってきた。
木村タカヒロ氏による、コラージュを多用した絵も素晴らしい。絵と文章がお互いを高めあっている。
19世紀のフランス。
夢見がちな少女エマは、医師シャルル・ボヴァリーと結婚する。シャルルは人は良いが、退屈な男だった。エマはついに不倫に走るのだが……。
姫野カオルコの文がテンポ良く読ませる。「智恵子抄」をもじったり、「星影のワルツ」を挿入してみたり。
そんなふざけているような手法が、長々とした心理、情景描写よりよっぽど優れた説得力を持つようだ。
終盤の物悲しさも心に沁みた。きっと夫は、何があっても自分を許す……その予感に耐えられなくなるエマ。彼女の苦悩がひしひしと伝わってきた。
木村タカヒロ氏による、コラージュを多用した絵も素晴らしい。絵と文章がお互いを高めあっている。
ラモリス・作、岸田衿子・文(偕成社)
パスカルという男の子は、ある日不思議な赤い風船を見付ける。
自分の言うことが分かって、自分の後を付いてくる風船。
子犬みたいにいとおしい風船。
何冊かあるこのシリーズ。
いわさきちひろの絵が繊細で美しく、甲乙つけがたい良い作品ばかりである。
この作品ももちろん、子供たちがとても生き生きと可愛らしく描かれていて素晴らしい。
ちょっと暗いトーンの街中を、元気に走る歓声が聞こえてきそうである。
パスカルという男の子は、ある日不思議な赤い風船を見付ける。
自分の言うことが分かって、自分の後を付いてくる風船。
子犬みたいにいとおしい風船。
何冊かあるこのシリーズ。
いわさきちひろの絵が繊細で美しく、甲乙つけがたい良い作品ばかりである。
この作品ももちろん、子供たちがとても生き生きと可愛らしく描かれていて素晴らしい。
ちょっと暗いトーンの街中を、元気に走る歓声が聞こえてきそうである。
近江源太郎監修(角川書店)
「彼女の瞳はとび色で、髪は亜麻色、ミスト・グリーンに染まった街をピジョンズ・ブラッドのドレスで歩いていた」
……はっきりと映像化できました?
色の名前ってなかなか興味深い。
私が好きな色は「黒」だが、好きな色の名前は「茄子紺」。
この色のネーミングはこれしかないと思う。
解説もいい。
鴇色(ときいろ)の話は必見である、日本人として。
(補足)私の持っているのは「色々な色」(光琳社出版)という本だが、現在は上のようなタイトルで出ているらしい。
「彼女の瞳はとび色で、髪は亜麻色、ミスト・グリーンに染まった街をピジョンズ・ブラッドのドレスで歩いていた」
……はっきりと映像化できました?
色の名前ってなかなか興味深い。
私が好きな色は「黒」だが、好きな色の名前は「茄子紺」。
この色のネーミングはこれしかないと思う。
解説もいい。
鴇色(ときいろ)の話は必見である、日本人として。
(補足)私の持っているのは「色々な色」(光琳社出版)という本だが、現在は上のようなタイトルで出ているらしい。
石垣りん(理論社)
石垣りん氏の作品の中から選び抜かれた33編の詩。
抽象的で独りよがりな詩集とは一線を画する石垣氏の詩集。
言葉の一つ一つが日常に密着していて、すっと心に入ってくる。
選者である水内喜久雄氏のあとがき「石垣りんさんをたずねて」も興味深い内容であった。
彼女はこう言ったという。
……空に虹がかかったとき、知らない人にもそれを言いたい、欲得なしに伝えたい、そんな気持ちを形にしたのが「詩」。
石垣氏の言葉はとても自然で、あたたかだった。
石垣りん氏の作品の中から選び抜かれた33編の詩。
抽象的で独りよがりな詩集とは一線を画する石垣氏の詩集。
言葉の一つ一つが日常に密着していて、すっと心に入ってくる。
選者である水内喜久雄氏のあとがき「石垣りんさんをたずねて」も興味深い内容であった。
彼女はこう言ったという。
……空に虹がかかったとき、知らない人にもそれを言いたい、欲得なしに伝えたい、そんな気持ちを形にしたのが「詩」。
石垣氏の言葉はとても自然で、あたたかだった。