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犬が星見た

武田百合子(中央公論新社)

1969年、筆者は夫である武田泰淳と、その友人である竹内好(中国文学者)とロシア旅行に出掛ける。旅行社の企画による「白夜祭とシルクロードの旅」は総勢10名。筆者の体験を克明に綴った1冊。

筆者の素直なまなざしが、あらゆる出来事をいきいきとさせる。
乗り物酔いで気分が悪く、食事中にトイレに駆け込んで嘔吐したが、それですっきりして食事を続けたという筆者。どこでも生水を飲んでしまうのだそうで、その堅強さに驚いた。
またあるときは態度が悪い現地ガイドの女性に、別れ際に日本語でつぶやく。「スパシーバ。あなたはしんからブスね」。ほくそ笑む筆者が目に浮かんだ。

夫や竹内氏に対する観察眼も愉快だ。ポルノ雑誌をみつけてうれしそうに買い求める両氏。でも空港で没収されるかも? と思い悩む様が描かれる。そんなくだらない話も大真面目に淡々と書かれていて面白かった。

他には観光地で見物したものはもちろん、食事のメニューから買った物の値段まで、細かく書かれていて興味深かった。当時のロシアや北欧の有り様を覗き見できた気がした。
100点

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