太宰治(新潮社)
太宰の絶筆「グッド・バイ」。
既婚者でありながら、複数の女性と付き合っている男、田島。すべてを清算すべく、彼は一計を案じた。
外見は申し分なく美しいキヌ子という女性を妻だと偽り、女達に自分を諦めさせようとしたのだ。
彼の作戦は成功するかに思えたが……。
軽妙な語り口に引き込まれた。田島の性格描写もユーモアたっぷりで、作者が自殺の直前にこれを書いたとはとても思えない文章である。
でも田島のいんちきぶりを、あざ笑うかのような書き方は「実際、こんな人間ばかりだ」という作者の厭世観を表しているような気がした。
その他、疎開先に向かう電車の中で食べ物を譲ってくれた人に、にくしみをこめて御礼が言いたいという短編「たずねびと」。
そうまでして生きて行かなくてはならないのか? という疑問が、読んでる側にも生じてくるような作品である。
85点
太宰の絶筆「グッド・バイ」。
既婚者でありながら、複数の女性と付き合っている男、田島。すべてを清算すべく、彼は一計を案じた。
外見は申し分なく美しいキヌ子という女性を妻だと偽り、女達に自分を諦めさせようとしたのだ。
彼の作戦は成功するかに思えたが……。
軽妙な語り口に引き込まれた。田島の性格描写もユーモアたっぷりで、作者が自殺の直前にこれを書いたとはとても思えない文章である。
でも田島のいんちきぶりを、あざ笑うかのような書き方は「実際、こんな人間ばかりだ」という作者の厭世観を表しているような気がした。
その他、疎開先に向かう電車の中で食べ物を譲ってくれた人に、にくしみをこめて御礼が言いたいという短編「たずねびと」。
そうまでして生きて行かなくてはならないのか? という疑問が、読んでる側にも生じてくるような作品である。
85点
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