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黒後家蜘蛛の会 1

アイザック・アシモフ(東京創元社)

 月に一度、晩餐会を開いて他愛のない話をする会、それが「黒後家蜘蛛の会」であった。個性豊かな六人のメンバーたちは、かわるがわるホスト役となり、皆にいろいろな謎解きをさせた……。

 1~5まであるこのシリーズ、「1」には12回分の会の様子が収められている。初回の『会心の笑い』を紹介したいと思う。
 強欲なアンダースンと潔癖なジャクスンは仕事上のパートナーだった。が、やがてアンダースンはジャクスンを陥れるようにして会社を追い出した。
 数日後、アンダースンは自宅から「何か」が無くなっているような気がし始めた。雑然とした自宅ゆえ「何か」の正体は分からないが、盗んだのはジャクスンに違いないと思うのだった。
 トリックは所謂よくある手だが、登場人物たちのセリフが洒落ているといったらない。特に給仕のヘンリーは、毎回胸のすくようなセリフを最後に言う。天啓に打たれたように唖然とするメンバーの顔が思い浮かぶようであった。
75点
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残光

小島信夫(新潮社)

 エッセイ。かと思ったら、解説で「長編小説」と書かれていて驚いた。もう根底から私は間違っていたようだ。

 作家である保坂和志氏と「トークイベント」をしたのは事実のようで、それについて書かれているのが第二章なのだが、
 ……は忘れた、
 ……はたまたま思いついたことで、そういうことではないかもしれない、
 ……この一つはいかにも疑わしい、
 と、読者をけむに巻く言葉が随所にあって、結論はどれなのか、誰の言ったことなのか、常に判然としないまま、話はずるずると進んでみたり戻ってみたり。
 奥様は認知症のようだが、筆者ももしや? とまで思ってしまった。

 これは作者の遺作で、最高傑作と裏表紙にはあるが、それが本当だとするならもうどの作品も私には手におえないだろう。
170ページまで読んだ。(新潮文庫 初版)

因果鉄道の旅

根本敬(幻冬舎)

 漫画家である筆者が出会ってきた、トンデモ人間の観察記録。

 何なんでしょう、この本は。低俗、下品、自己中、どっちもどっち(観察する側もされる側も)、狐と狸の化かしあい……読んでいてほとほと疲れた。
 オチも無ければ救いも無い、だらだらと「こんなアフォがいたんです」の記録。エログロナンセンスどんと来いな私でも、途中で嫌になりました。
 どこまで読んでも時間の無駄、な一冊。
150ページまで読んだ。(幻冬舎文庫 初版)

香水 ある人殺しの物語

パトリック・ジュースキント(文藝春秋社)

 時は18世紀。フランスはパリに、天才的な嗅覚を持つグルヌイユという男がいた。
 彼はやがて香水調合師となりその才能を遺憾なく発揮し始める。彼が作った香水は絶賛を浴びるも、それで満足するような彼ではなかった。もっと良い香りがこの世にはある……彼の欲望はとどまるところを知らなかった。

 匂いが主役の話? と、あまり期待せずに読み始めたのだが、読むにつれ面白さは膨れあがり、後半はものの見事に一気読みさせられた。
 見せ場はたくさんあるのだが、特にグルヌイユが初めて香水を調合するシーンが圧巻だった。
 その香りを香水屋の主人はこう表現する。「典雅でキレがいい。ほんのりしていて、それでいてわくわくするほど斬新だ。(略)……ゆたかな、沈み込ませるような、濃褐色の深み」。まさに香り立つような一文である。

 「匂い」の記憶というものは、何かを「見た」記憶より生々しく心に残るものかもしれない。至高の香りを追い求めたグルヌイユの生涯というものもまた、私の記憶に残りそうである。
85点

ここがホームシック・レストラン

アン・タイラー(文藝春秋社)

 母親と長男、次男、長女の、ほぼ一生の話。夫に逃げられた母親は、一人で子供たちを育てていく。わがままで、潔癖症の母。見た目は良いが、ずる賢い長男。どん臭く、冴えない次男。存在感の薄い長女。

 各章ごとに語り手が変わっていくのだが、ったく、どいつもこいつも、である。中でも長男は、一番嫌いなタイプ。サザエさんちのカツオを、かなり悪くしたような性格。
 しかしながら、自分も「子供」と「母親」という両方の立場に立ってみて初めて、この本にあるような、お互いの理解不能ぶりに気付き、愕然とした。
 母親は良かれと思って口出しする、子供は母親にだけは口出しされたくない……この気付きを、忘れずにいよう。
75点

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